〜気軽に参加できるユニークな映画祭〜
ヨーロッパ3大国際映画祭といえばカンヌ、ベルリン、ヴェネチアですが、毎年大物監督たちが喜んで参加するのはロッテルダム国際映画祭 (IFFR)。今年は1/27~2/7日開催で、日本映画も数本上映されました。ロッテルダム駅構内に大きな標示がなく、レッド•カーペットもないほどのんびりしている映画祭です。
全てが映画中心の映画祭
ロッテルダムの駅から徒歩5分でメイン会場のDe Doelen に到着 。ここには監督たちがくつろぐカフェやバーがあります。シンセ•ニューウェーブ系の音楽が世界的に知られるオランダらしくDJの舞台、ラジオ局の映画音楽の紹介、ロッテルダムのシンフォニー•オーケストラによるライブなどを満喫できるロビーもあります。今回も『インディアナ•ジョーンズ』や『スター•ウォーズ』などを聞きながらドリンクしている人の姿が見られました(ちなみにロッテルダム国際映画祭特製ビールは美味しいです)。映画館と直結しているので一般客は遠巻きに監督や俳優を見つけることができます。
ロッテルダムでは初日の映画上映45分前に「フォトコール」を設けることで有名です。これは無駄なレッドカーペットの時間と経費を取り、ファンはお目当ての監督•俳優のいる劇場へ直接出向くというセッティング。ドレスアップした俳優たちがすぐ側でポーズをとるという夢のような企画です。そして席に座ると上映前に監督紹介があり、上映後は監督とのQ&Aと記念撮影のチャンスもあります。今年はチケットが3日間共完売の『ザ•モデル』のプロデューサー、女優、監督が人気でした。ナスターシャ•キンスキーを思わせるモデル•女優、マリア•パルムさんは特に綺麗です。
人気の日本映画ですが、今回は映画祭のイベントとして足立正夫監督の映画が招待されました。初日は新作の『断食芸人』。歴史を知っていると笑える皮肉たっぷりのアート映画です。確か去年は社会風刺の貢献度が高い、韓国のチャン•ジン監督の映画が上映されていました。時には過激派から追われながらも自分の信じる映画を撮り続けている監督たちはやはり外国で人気があり、多くの映画関係者が足を運びます。足立正生監督は国外へ出られないそうですが、ロッテルダム国際映画祭のディレクター、ベロ•ベイヤー氏は監督を応援して映画7本を一挙上映しました。
また『100円の恋』の武監督は大きな拍手を浴び質問攻めにあっていました。人生において勝ちたいけど勝てない人口の方が多い。そういう人たちのために送るという心温まる映画に共感した若者が多かったようです。橋口亮輔監督の『恋人たち』や石井隆監督の『GONINサーガ』も満席状態でした。
ロッテルダム国際映画祭の締めくくりは受賞式。これまでに「渚のシンドバッド」の橋口亮輔監督、「まぶだち」の古厩智之(ふるまや)監督、「山守クリップ工場の辺り」の池田暁監督など実力ある個性派監督を選出しています。残念ながら今年はヒボス•タイガー賞の受賞はありませんでした。授賞式の後会場はすぐドリンク•バーとDJ音楽に変わり、ロッテルダム国際映画祭は最後までカジュアルな雰囲気で楽しく幕を閉じました。(JP)
今年からフェスティバルのディレクターになったベロ•ベイヤー氏。心に触れたり、混乱させたり、うっとりさせたり、感動させてくれる素晴らしい映画がある。「どの映画も一人の観客の前で初めて生きてくる」と言いました。
カフェです。
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