〜BIFFF国際映画祭が『ジュ・テーム』コール〜
しいなえいひさんといえば、海外のホラー映画ファンで知らない人はいない。フランスやベルギーなどヨーロッパ各地のDVDのお店に必ずといっていいほど、彼女主演の映画やポスターが登場する。2008年から西村喜廣監督の『東京残酷警察』、『ヘルドライバー』、『吸血少女対少女フランケン』など多くの作品に主役で出演。ホラー以外にも、アクション映画でハリウッドにも馴染みがある。「しいなえいひ」という名前以上に、「顔」ではおそらく海外で最も好かれている日本の女優だ。着物だけでなくセーラー服も着こなし、切れ長の目にため息が出るほどサラサラの黒髪。メガネをかけていてもすぐに芸能人だとわかる人だ。
撮影後は女優からファンへ 変身
そんな彼女が、西村監督のホラーやスプラッター映画でおもいきり血をかぶったり、メイクでずっとこわい表情を保つのは抵抗ないのだろうか。しいなさんは「抵抗なくは、ないです」と前置きして、「血をかぶるのがもともと好きだったというわけじゃないんです」と笑いながら答えた。自傷行為のシーンも演じながら「痛そう」と思うそうだ。しかも「西村監督のメイクや特殊造型は本当に大変。それに撮影もハードなんです」と答え、横にいた西村監督を笑わせた。撮影は2週間だが、1日200カット以上に及ぶ時もある。リハーサルやカメラの用意もなく、いきなり「撮るよ~」という監督の声と同時に撮影が始まったりもする。
しかし、「自分の中で別のスイッチが入っているのかもしれないですね」と、ふと真面目な表情になった。西村監督と出会って映画に出演しているうちに、彼が生み出す映画のセンス、誰も考えつかなかったアイデアなどがとても好きになったそうだ。「スプラッター映画に関しても、スプラッター要素の他に、常にオリジナリティーがある監督なんです」と語った。映画の中のハードなシーンも、西村作品に関しては後で観ると楽しく、意外に美しかったり、また映像として正解だったりする。撮影後は、一ファンのようにワクワクしながら作品の公開を期待しているそうだ。「いつも、絶対素晴らしいものになるってわかっているので、やらせていただいているという感じもあります」と、名監督を信頼しきっている様子がうかがえた。よく笑い、話の受け答えもとても自然な人だ。
インタビュー当日、写真を撮りに外に出た途端、あっという間に現地のカメラマンやファンに囲まれた。時差で疲れていたにもかかわらず、最後までニコニコと写真撮影やサインに応じていた。深夜の舞台挨拶でも映画のように着物姿で登場し、ベルギー人男性から「ジュ・テーム」(愛してる)コールを浴びた。少女時代から西村監督、北野監督、三池監督、SABU監督など、多くの監督に見出され映画のスクリーンで育ってきた、しいなさん。今後も大人の女優として、日本や海外での活躍に期待したい。
しいなえいひさんのプロフィール
1976年、福岡県出身。18歳からモデルとして各CM出演、ベネトン、エリート・モデル’95日本代表でフランス等海外で活躍。1998年、行定勲監督の『Open House』から女優デビューし、代表作に『オーディション』『東京残酷警察』『アウトレイジ』『ヘルドライバー』、そして最新作は西村喜廣監督の『虎影』。日本国内以上に、海外でもホラー映画、雑誌、ファッション・ショーなどで人気のあるモデル・女優である。
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